四柱推命でいろいろなことを判断するときは、命式の通変星の状態を見ます。通変星は、比肩(ひけん)・劫財(ごうざい)・食神(しょくしん)・傷官(しょうかん)・偏財(へんざい)・正財(せいざい)・偏官(へんかん)・正官(せいかん)・偏印(へんいん)・印授(いんじゅ)の10個あります。それぞれにいろいろな意味を持っているので、この通変星をうまく読み解くことで、その人の性格、適正、考え方、行動などが分かります。
命式を出したときに、一番強い通変星の意味合いが、その人の表面上の性格や適性、考え方、行動として表れやすいです。
なお、四柱推命でよく言われる、正財や正官や印授が天干に出ていると良いとか、命式に劫財が出ているからお金で苦労するとか、命式に傷官が出ているから、女性の場合は夫を剋すので恋愛や結婚運がないというのは、命式に出ている通変星が喜神なのか、忌神なのか、その強さはどの程度なのか、他に出ている通変星との兼ね合いなどをきちんと見ないと分からないことなので、通変星に対する良し悪しの偏見を持たずに、この後のお話を読んでいただきたいと思います。
◆参考 五行の相生と相剋
◆参考 通変星
比肩と劫財
比肩(ひけん)と劫財(ごうざい)は、日干から見ると、同じ五行の通変星です。お互いに助け合う関係なので、日干が弱い命式の場合、力強い味方になります。だいたい同じような意味を持っているので、まとめて比劫(ひごう)と呼びます。
比劫(ひごう)は、日干と五行が同じなので、兄弟・姉妹や友達、身近な仲間など、肩を並べる関係性を意味します。
命式で比劫が強い人は意志が強い傾向があるので、自分の考えを主張できる見るからにしっかりした人もいれば、一見従順そうでも、内心では自分の考えは曲げないので、最後の最後には自分の意見を押し通すタイプもいます。自我が出過ぎてしまうと、我がままな人だと思われて、対人関係で苦労することもあります。身近な人からの誘いには快く応じる人が多く、特に劫財が多いと、自分が中心になってあれこれと企画し盛り上がれる場をつくりたがります。
負けず嫌いで競争心が強いため、組織の中で競り勝つ強さがあり、リーダーに抜擢されることもあります。向上心や独立心が強い傾向があるので、自営業、フリーランス、経営者を目指す人も少なくないです。
金銭への執着は強い傾向があります。よく稼ぎ、よく使います。命式にたくさん劫財があると、財運がないなどとよく聞きますが、比肩や劫財が命式にとって良い喜神なら、財運は良いですし、比肩や劫財が忌神なら、浪費傾向が強く、お金に苦労しやすいです。特に忌神の劫財が強いと、懐事情を考えずに社交の場で散在して後悔するなどあります。
男性の命式に劫財があると、妻を剋すので結婚生活がうまくいかないなどと聞きますが、それは忌神の劫財の強い男性のことです。喜神の劫財が強い男性は、妻を大切にし、お金の苦労などさせずに安定した結婚生活になる傾向です。
食神・傷官
食神(しょくしん)と傷官(しょうかん)は、日干の五行から生まれる五行の通変星です。例えば、日干が木の五行なら、食神や傷官は火の五行になります。日干が弱いと、食傷に力を与えることで自分自身が弱ってしまいます。なので、食傷を生かすためには日干は強いほうがいいです。食神と傷官はだいたい同じような作用をするので、まとめて食傷(しょくしょう)と呼びます。
食傷(しょくしょう)は、日干の五行から生まれる、日干の五行に強められて作用する通変星です。女性の場合は、自分自身が生み出す意味から、食傷は子どもを意味します。男性の場合は、特に人物は意味しません。
日干は自分自身を表しますので、その日干から強められて作用する食傷が強いと、サービス精神が旺盛で、奉仕の気持ちが強く、功名心を持ちます。自分が生み出すという意味から、芸術、美術、技術など、さまざまなことを表現するのが得意です。自分の表現や行いで他者を喜ばすことに生きがいを感じる人も多いです。人のお世話をするのが好きで、いつも誰かのために動いている人もいます。それが過剰になると、お節介で押しつけがましい人になってしまいます。食神が強いと、温和で朗らか、おしゃべり好きで、ちょっぴりふくよかな傾向が出やすく、傷官が強いと、鋭い観察力で弁が立ち、クールな雰囲気が出やすいです。
命式に強い食傷があると、職業の適性が広いです。芸術・芸能分野、美術・デザイン分野、スポーツ選手、サービス業、飲食業、介護、福祉、医療、教職、ファッション・美容業界、技術者、弁護士、アナウンサー、評論家など、好きなこと、得意と思うことをそのまま職業にするのが向いています。ルーティンワークや事務作業、公務員や一般企業のような、お堅くてあまり事由が利かない職業には向いていません。男性は特に、公務員や大企業で自分を律して働くより、自分のやりたいことを仕事にするほうが発展します。
女性の命式に傷官があると、夫を剋すので結婚縁がないとか、良い結婚ができないなどという話をよく聞きますが、傷官が喜神なのか、忌神なのかによって、意味合いは全く違ってきます。傷官に限らず、命式の食傷が強い女性は、恋愛の機会が多い傾向があります。食傷が命式にとって良い喜神なら、良い恋愛、良い結婚になりやすく、良妻になりますが、食傷が忌神で強い場合は、恋愛や結婚に苦労する傾向があります。
偏財・正財
偏財(へんざい)と正財(せいざい)は、日干の五行から剋される五行の通変星です。例えば、日干が木の五行なら、偏財や正財は土の五行になります。日干は偏財や正財を剋そうとして力を使うので、結果的に日干は弱まります。なので、日干が弱いと、偏財や正財を生かすことができません。偏財と正財は、だいたい同じような作用をするので、まとめて財星(ざいせい)と呼びます。
財政(財政)は、父親を意味します。働いてお金を稼ぐ役割という意味合いです。また、男性の場合、財星は妻の意味もあります。日干に剋される、言い換えれば日干が従わすことで良い作用をするので、妻を表す通変星になります。
財星は、「財」という文字が入っていることからも分かるように、命式に強い財政がある人は、財に関して独特の感性を持っている人が多いです。損得勘定がしっかりしていたり、お金の計算が得意だったり、投資に興味を持ったりなど、理財能力に長けています。また、財を拡大解釈すれば人、商品、不動産など、利益を生み出す可能性があるもの全てということで、広い視野で社会の流れを見て、利益を上げるチャンスを探している人も多いです。真面目で几帳面、仕事熱心で非常に現実主義な傾向があります。マネジメント力や統率力があり、社交的で交渉スキルが高いので人脈作りも上手ですが、少々、押しが強すぎる面も見られます。
商売全般に適性があり、会社経営をしている人も多いです。金融、証券、財務関係の仕事に就いている人も少なくないです。サラリーマンなら営業職や店舗マネジャーなど、社交性や統率力、マネジメント力を生かした場面で活躍できます。
命式に財政、特に強い偏財がある男性は女性にもてる傾向があります。喜神なら良識ある対応をするので何も問題ないですが、忌神の偏財の場合は、女遊びが盛んで、つまらない女性にお金をつぎ込んでしまうなど注意すべきです。強い正財がある男性も同じように社交性があるので男女問わず人を引きつけますが、偏財が強いと、社交の場での華やかさや話し上手な面がより出やすいので、女性からは魅力的に見えるのでしょう。
命式に財星があればお金に困らないなどとよく聞きますが、それは強い喜神の財政が命式にあればの話です。命式に強い忌神の財政があれば、浪費、無駄遣いばかりして借金をすることになるかもしれませんし、がめつさが出てきたり、使うべきときにお金を出さないけちな人になるかもしれません。財政も命式にとって良い喜神なのか忌神なのか、強いのか弱いのかで意味合いが大きく変わりますので、何でもかんでも財政があればお金持ちになるわけではありません。
もう一つ、命式に財星があると、宝くじに当たるとか、賭け事で一攫千金も夢じゃないなどと考える人もいるかもしれませんが、四柱推命の考え方では、財星は自ら汗水流して働いた結果得る利益を意味しているので、たまたま舞い込むあぶく銭については予測できません。
偏官・正官
偏官(へんかん)と正官(せいかん)は、日干の五行を剋す五行の通変星です。例えば、日干が木の五行なら、偏官や正官は金の五行になります。日干が弱いと、偏官や正官の作用に耐えられず、自分自身がまいってしまうので、偏官や正官を生かすためには、日干が強いほうがいいです。偏官と正官はだいたい作用が同じなので、まとめて官星(かんせい)と呼びます。
官星は、日干(自分自身)を剋す通変星なので、女性の場合は夫を意味します。男性の場合は、妻を意味する財政の五行と、官星の五行が、財政から官星を生み出す相生関係になっているので、官星は子どもを意味します。例えば、日干(男性)が木の五行なら、財政(妻)は土の五行で、官星(子ども)は金の五行になります。五行の相生では、土は金を生み出す関係なので、男性の場合は官星が子どもを意味するということです。
官星は、「官」という文字が表すように、官僚、公務員、昇進、出世などの意味合いを持つ通変星です。昔の中国では、生まれた子どもの命式を見て正官が良い作用をしていたら、将来科挙(かきょ)、今で言う国家公務員試験に合格できるように、英才教育を受けさせたという逸話があるくらい、正官という通変星を重要視していたようです。
命式に官星があると、忍耐強く、真面目に職務を遂行し、それでいて穏やかで落ち着きがあり品行方正、正義感が強く不正や曲がったことが大嫌いな傾向が強いです。そのため、上司や目上の者からの信頼が厚く、管理職やリーダーを任せられやすい傾向があります。几帳面で集中力が高く、我慢強いです。少々堅物で冗談が通じなかったり、あまりに自制心が強すぎて、融通が利かないこともあります。
国家公務員、地方公務員のような一般的な公務員はもちろん、警察官、自衛官、裁判官といった特に規律を重んじる職業への適性が高く、管理能力に優れているので、経営者、マネジメント、大企業での管理職など、重要なポジションで成果を出せる傾向があります。単純作業やルーティン作業が苦にならないので、事務職や、サポート業務にも向いています。男性は出世コースに乗りやすく、女性も仕事ができたり、家庭の切り盛りが上手な傾向があります。
管理能力が高く自制心が強いので、貯蓄が上手な人が多いです。あまり無駄遣いもしません。仕事ができる人が多いので、あまりお金にこまることはない傾向です。
命式に強い忌神官星があると、自制心や忍耐力が強すぎて、知らず知らず心身を病んでしまうこともあります。無理をしすぎて病気になったり、引きこもりになってしまうこともあります。
女性にとって官星は夫を意味する通変星ですが、命式に官星があるから必ず良い夫とであって幸せな結婚をするとは限りません。官星が命式にとって良くない作用をしていれば、男性に対する恐怖心を持ったり、支配的な夫に苦労するようなこともあり得ます。命式の官星が喜神なのか、忌神なのかが重要です。
偏印・印授
偏印(へんいん)と印授(いんじゅ)は、日干の五行を強める五行の通変星です。日干の五行が木の場合、偏印や印授は水の五行になります。日干が弱い命式には、偏印や印授はとても重要な通変星になります。偏印と印授はだいたい同じ作用をするので、まとめて印星(いんせい)と呼びます。
印星は、日干を生み出す五行に当たるので、母親を意味します。自分を生み出し、エネルギーをわけてくれる、まさに母親のような通変星ですが、印星が強すぎると日干(自分自身)が逆に弱ってしまうこともあります。
命式に印星があると、頭脳明晰で要領が良く、周囲から一目置かれやすい傾向があります。記憶力が良く、勉強が苦にならず、なぜか読書好きの人が多いです。特に印授が強いと、人気者、名誉といった意味合いが出るので、表彰されるようなことも多いです。印星が多い人は温厚で優しいのですが、少々プライドが高い傾向があります。また、人からどう見られるかを気にする傾向が強いからか、プライベートを秘密にしたり、逆にプライベートを作り込んでいる人もいます。
印授が強い命式の人は、研究者や学者、医師、上級公務員、教師、一流企業、IT関係など、成績優秀で頭脳を駆使した職業を選ぶ傾向があります。偏印が多ければ、器用で想像力が豊かな面が出やすいので、作家、文筆家、アイデア商売、工芸などのクリエーティブな分野や、機転が利き、聡明で頭の回転が早いので、芸人、役者、演奏家などにも向いています。
印星が忌神なら、批判心が強くなったり、理想や目標が高すぎるあまり虚言を語ったり、忌神の印星が強すぎると勉強嫌いになったりすることもあります。また、女性の場合、忌神の院生が強いと、男性への理想が高くなりすぎて結婚縁が遠のくこともあります。
通変星自体には良いも悪いもない
良くないと思われがちの劫財や傷官が良い通変星になったり、財政や官星や院生があっても、喜ばしいことばかりではないことが伝わったでしょうか。
通変星の意味は、その命式で一番強い通変星のものが、その人の性格や適性、考え方、行動に出やすいというだけで、通変星の何々があるから良いとか、何々があるから良くないということではなく、どの通変星にも良い面と良くない面があって、命式にとって良い通変星は良い作用が表に出やすく、命式にとって良くない通変星は、良くない意味合いが表に出やすいということです。
中国式四柱推命では、通変星の善し悪し、強さ、他の通変星との関係をしっかり見るので、命式に財政があるからお金に困らないなんて安易なことは言いませんし、命式に傷官が出ている女性に、「この傷官は素晴らしいですね、良い出会いがありますよ」とお伝えすることもあります。もちろん良くない傷官があればそのことをお伝えしなければいけませんが、そのときは良くない傷官の作用を弱めてくれる良い喜神が巡る年をお伝えしますので安心してくださいね。
◆参考 喜神・忌神